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番外編 大人も子どもも狭いところが大好き

「起きて待っていてくれたんだ。心、 未知ありがとう」 濃紺の浴衣を粋に着こなしたひろお兄ちゃんが寝室にそぉーと入ってきたのはそれから三十分後のことだった。 「兄貴と龍成とお揃いのを橘が用意してくれていた。未知どうだ?似合うか?」 「はい。すごく似合います」 「かっこいいか?」 「はい。かっこいいです」 「兄貴とどっちがかっこいい?」 「裕貴さん、未知を困らせないの」 「だって」 「あまりしつこく聞くと未知に嫌われるよ」 「それだけは嫌だ」 「嫌なら早く寝たら?」 「俺の寝場所がない」 ひろお兄ちゃんが怪訝そうな声を出した。 「兄さんの隣が空いてる」 「兄貴と一緒に寝ろと?」 「だって未知と片時も離れたくない。次いつ会えるか分からないんだよ。未知を補充させてほしい」 「裕貴、カミさん強しだ。何事も諦めが肝心だぞ」 彼が毛布を捲った。 「狭いが我慢してくれ」 「しょうがないな。たまにはいいか」 ひろお兄ちゃんが彼の隣に潜り込んだ。隣の布団で眠る太惺と心望の寝相を見るなりぷぷっと笑い出した。 「ここより狭い和室に子どもたちが全員寝ている。面白いことに一太のまわりに固まって寝ているんだ。橘と柚原は布団のなかで優輝とめぐみに寄り添い話しを聞いていた」 ひろお兄ちゃんが何か言いたそうに彼をじっと見つめた。

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