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番外編 ひろお兄ちゃんは実はハグ魔

「そんなに見つめるなよ。ドキドキするじゃねぇか。それにあまりねっぱんなよ。暑苦しい」 「だって兄貴の浴衣から未知の匂いがするんだ。仕方ないだろう」 ひろお兄ちゃんに抱きつかれ、 「そういえばお前はハグ魔だったな」 「ちゃんと覚えてくれていたんだ」 「ついさっきまですっかり忘れていた。なんで思い出したんだ。参ったな」 彼がやれやれとため息をついた。 「裕貴、お前が言いたいのは親と一緒に暮らすのが子どもたちにとって一番いい。でも二人は海翔を見てる。もしもだ。柚と一央が離婚し、柚が子どもたちを引き取ったとする。でも柚に新しい恋人が出来たら?海翔の母親みたく自分たちも捨てられるんじゃないか、あまされるんじゃないか、それが心配でなかなか寝れないんだろう」 「さすが俺の兄貴。まさに以心伝心だ。ますます惚れ直した」 「あのな裕貴……飲み過ぎだぞ」 酔っぱらってすっかり出来上がってしまったひろお兄ちゃん。彼がタジタジになるくらい、ひろお兄ちゃんは彼にべったりで。ちいさな子どもみたく甘えていた。

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