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番外編 心さん、臍を曲げる
すっかり臍を曲げてしまった心さん。ぷいっとそっぽを向くと毛布を頭から被ってしまった。
「しばらくの間実家に帰らせていただくので、明日は裕貴さん一人で帰って」
「心の実家はうちだ。他にどこに帰るんだ」
「あのな裕貴。心の実家は俺と未知がいるここだ」
「ここ?」
「そうここだ」
やっと状況を理解したひろお兄ちゃん。ショーツを彼の袖の袂に押し込むと、慌てて飛び起きた。すぐに心さんの頭の上に移動し正座すると平蜘蛛のように頭を下げてひたすら謝った。
「心さんは千里の一番弟子みたいなものです。心さんの性格はあなたが一番よくご存じのはずですよ」
「ゆうまくんパパどうかした?」
橘さんの背後からめぐみちゃんと優輝くんがひょっこりと顔を出したから驚いた。
「ままたんが帰ってこないから心配したんだよ」
「優輝も」
「ごめんなさいね」
橘さんが二人にズボンを引っ張られて戻っていった。
「妹に会いたくて夢にまで見たその妹が目の前にいるんだもの。そりゃあ、まぁ、テンションも高くなるよね。ハメも外したくなる。それは分かるよ。分かるけど、頼むから優真に泣かれるようなことはしないで」
「分かった。以後気を付ける」
「裕貴さん、大好きな兄貴の隣取られても知らないよ」
「誰が取るんだ。未知はここにいるし……」
ハッとして後ろを振り返るひろお兄ちゃん。
いつの間にか太惺と心望が彼の隣に移動していて、二人して横向きなって寝ていた。
「あぁ~~」
怒るにも怒れず大きなため息をつくひろお兄ちゃん。
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