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番外編 心さん、臍を曲げる
「なにもみんなで仲良く一緒に寝ればいいんだ」
「それもそうだな」
子どもたちのあどけない寝顔にひろお兄ちゃんの目尻は下がりっぱなしになりデレデレになっていた。
そのあと龍成さんと信孝さんがそぉーと静かに乱入してきて、俺の兄貴だ!いや違うだろう。みんなの兄貴だ!そんな感じでひろお兄ちゃんと彼を仲良く取り合いながも眠くなるまで他愛もない話しに花を咲かせていた。僕の知らなかった若い頃のやんちゃだった彼の話しも飛び出して大いに盛り上がっていた。
彼とひろお兄ちゃんとりょうお兄ちゃんの声が聞こえてきたような気がして目が覚めた。上体をむくっと起こして隣の布団を見ると一緒に寝ているはずの彼とひろお兄ちゃんの姿がなかった。
(遥琉さん、ひろお兄ちゃんどこ?)
耳を澄まして薄暗い部屋の中をキョロキョロと見渡すと、二人の声が縁側から聞こえてきた。みんなを起こさないようにハイハイで移動し戸を静かに開けると、神妙な面持ちでお茶を飲みながら何やら話しこんでいた。
「起こしたか?ごめんな未知」
「あの遥琉さん、りょうお兄ちゃんの声が聞こえるんだけど気のせいかな?」
「気のせいじゃないぞ」
ひろお兄ちゃんがスマホを高く掲げた。
「ビデオ通話中だ」
「いろいろと相談していたところだ」
ー兄貴、もしかしてそこに未知がいるのか?ー
「遼の声に気付いて起きてきたところだ」
「遼成さん良かったな」
スマホの画面を覗くと、りょうお兄ちゃんが手の甲で目を擦るような仕草を見せた。
ー最初に言っておくが泣いてなんかないぞー
「痩せ我慢するな。バレバレだ」
彼がクスリと笑った。
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