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番外編 彼の取り合い
ー未知、龍成は俺の名代として縣一家を代表して葬儀に参列する。笑い者にされるから粗相は出来ないとがちがちに緊張しているはずだ。なんでもいいから褒めてやってくれないか?龍成の緊張をほぐしてほしいんだー
「僕ですか?そんな大役無理です」
「そう言わず。未知にしか出来ない」
「遼成さんの顔を立てるためだ。協力してくれ。俺からも頼む」
彼とひろお兄ちゃんに頭を下げられ無下にも断るわけにもいかず。
「分かりました。出来るかどうか分からないけど龍成さんのことをうんと褒めて、笑顔で希実さんに会いに行かせます」
ー未知、頼むな。それはそうと裕貴。なんで兄貴とお揃いの浴衣を着ているんだよ。俺、一言も聞いてないぞ。俺も兄貴と同じのが着たいのに。ズルいぞー
「弟の特権だと言いたいところだが文句は橘に言え。俺に言われても困る」
ーなんだそれー
「ひろお兄ちゃんもりょうお兄ちゃんも朝から喧嘩をしないで」
慌てて止めに入ると、
「相変わらず仲がよろしいですね。ここまで仲がいい義兄弟どこを探してもいませんよ」
「嫌味か」
橘さんが姿を現した。
「決して嫌味ではありませんよ。遼成さんと蒼生さんの浴衣はただいま準備中です。少々お待ちください」
朝のうちは冷えるからと橘さんが肩にタオルケットを羽織らせてくれた。
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