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番外編彼の取り合い

「みんな遥琉さんが好きなんですね。みんなに愛される遥琉さんが羨ましいです。昨夜も夜遅くまで話しが盛り上がっていて、全然知らなかった遥琉さんの意外な一面を知ったり、やんちゃだったころの遥琉さんの武勇伝を聞けて、すごく楽しかったです。時間が経つのもすっかり忘れて、お陰で今日も寝不足です。切っても切れないくらい友情も絆も強いってことを改めて知りました。やっぱり遥琉さんはすごい人です」 「随分と嬉しいことを言ってくれるな。照れるじゃねぇか。褒めてもなにもでないぞ」 彼の頬がほんのりと赤く染まっていた。その頬をひろお兄ちゃんが指でつんつんして遊んでいた。 「止めろ、人の顔で遊ぶな」 「兄貴に構ってほしい年頃なんだ。しょうがないだろう」 手で何度払われても、ひろお兄ちゃんは童心にかえったように嬉しそうにつんつんして彼の顔で遊んでいた。 小学校がお休みの日はなぜか早起きな子どもたち。六時前なのに関わらず子どもたちが寝ている部屋はとても賑やかだった。そっと覗くと、一太と奏音くんがかわりばんこで横臥する龍成さんの胸を撫で撫でしていた。 「二人とも何してるの?」 「どきどきとんでけーーってしてる」 「りゅうパパねコチコチになってるから」 「ん?どういうこと?」 いまいち言っている意味が分からなくて聞き返すと、 「どきどきってすごく音が早いんだ」 「みちさん、かなたのりゅうパパ、死なない?」 二人して目をうるうると潤ませて龍成さんの心臓のあたりを指差した。

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