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番外編 ひろお兄ちゃんがやりたかったこと
ひろお兄ちゃんがそっと下ろしてくれた。小指と小指を絡め約束通り指切りげんまんをした。
「嘘ついたら、頬っぺにチューな」
「え?」
「駄目か?」
「そういう訳じゃ……」
「未知はお兄ちゃんが嫌いか?」
「嫌いじゃない」
「この際だ。白黒はっきりつけよう。兄貴にはどう頑張っても敵わないが、俺と遼成さん……」
「パパ、未知をまた困らせているよ。赤ちゃんじゃないんだから。困っちゃうよね」
心さんがくすくすと笑いながら優真くんを抱っこして現れたものだからひろお兄ちゃんが驚いていた。
「誰が赤ちゃんだって?」
「自分の胸に手を当てて思い出してみたら?心当たりがあると思うよ」
「ママ、めっけ!」
「みちしゃん、めっけ!」
遥香と幸ちゃんが仲良く手を繋ぎ駆け寄ってきた。
「湿布と包帯を持ってきてくれたんだね。ありがとう」
二人の頭を撫でると、モジモジしながら照れて真っ赤になった。
「雨の予報だったのに雲一つない快晴だ。イチと譲治の日頃の行いがいいんだろう。裕貴、信孝、龍行くぞ」
喪服をきりりと着こなし、頭を後ろに撫で付け、四人揃って凛々しい姿になっていた。こうして身長の高い四人が並ぶと絵になる。浴衣姿とはまるで違う雄々さに胸のドキドキが止まらなくなってしまった。
「普段のパパとまったく違うね。まるで別人のようだね」
「うん。パパ、カッコいい!」
心さんの頬っぺはほんのりと染まっていた。優真くんはそりゃあもう大興奮だった。目がきらきらと輝いていた。
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