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番外編 ひろお兄ちゃんがやりたかったこと

「そうですね。普段は焼きもち妬きにばぶばぶの甘えん坊に構ってくんですからね。変われば変わるものですね。いつもこうだと私たちも余計な気を遣わなくてもいいので、疲れなくていいんですけどね」 「嫌味を言われているような。気のせいか?」 「えぇ、気のせいです」 橘さんが彼に袱紗と数珠を渡した。 「留守番は私と柚原さんに任せてください」 「弔問客の相手は度会さんと紫さんが一手に引き受けてくれたから、未知に無理だけはさせないでくれ」 「分かっています。柚さんは寝てますし、ウーさんと青空さんが睨みを効かせて柚さんを監視していますから、命が惜しいなら馬鹿な真似はしないはずです」 「柚には申し訳ないが、念には念を入れろ。用心に越したことはない」 「相変わらず心配症ですね」 「だってしょうがないだろう。未知に万一のことがあったらどうするんだ?あの時あぁしていればもしかしたら防げたんではないか。後悔しても遅いだろう。陽葵、ママを頼むな」 彼が僕の腕の中にいる陽葵を笑顔で覗き込むと頬っぺを優しくつんつんしてくれた。 「裕貴と龍へのサプライズ、もし時間が間に合わないときは連絡を寄越せ。こっちで時間を調整するから」 「うん。分かった。その時は連絡するね」 彼が頬っぺに行ってきますのキスをしてくれた。 「いつもより熱いのは気のせいか?」 「気のせいだよ」 男らしく凛々しい姿に思わず見惚れていたなんて口が裂けても言えなかった。

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