2790 / 4015
番外編 姐さんの半径30センチ以内立ち入り禁止
「姐さんから離れろ!」
「姐さんの半径三十センチ以内立ち入り禁止!」
蜂谷さんと青空さんがすぐに駆け付けてくれた。
「あのさー、頭ががんがんして痛いの。聞こえているから大きな声を耳元で出さないでくれる?」
「だったら記憶が吹っ飛ぶくらい呑まなきゃいいだろう。呑まないとやってられない気持ちは分かるが、犯罪に巻き込まれてからでは遅いぞ」
「そのくらい分かってるわよ。分かってるけど……」
柚さんが指で髪をくしゃくしゃと掻いた。
「蜂谷もヤスも確か呑める口だったよね?度会さんと弓削とさしで飲めるくらいの酒豪だったはず。何で?」
「俺もヤスも青空も守るべき大切なひとたちがいるから断酒した。敵に寝込みを襲われたとき酔っ払っていて姐さんや子どもたち。それにタマや青空を守れなかったでは理由にならない。間違いなく弓削に半殺しにされる」
「なるほどね」
柚さんがしゃがみこみ譲治さんが大切に抱えていた遺影の写真をじっと見つめた。
ともだちにシェアしよう!

