2791 / 4015

番外編 ごめんね

「大切な人?」 譲治さんの顔は恐怖でひきつり、怯えるばかりで柚さんの問い掛けに一切答えようとはしなかった。 「さっきも言ったけど叩かないわよ。叩いたら青空のビンタが飛んでくるわよ」 「女の顔や頭を叩くほどまだ落ちぶれてないぞ。駄目なくらいわきまえているぞ」 「あら~~見た目と違い紳士なのね、意外だわ。蜂谷、青空といると飽きないでしょう?」 「分かっているならいちいち聞くな。仏さんは譲治の妹の希実だ。まだ二十歳にもなっていなかった。詳しいことは信孝と龍成に聞け。譲治には聞くなよ。もう二度と会えないのは理解しているのが、まだ心の整理がついていないんだ。パニックを起こす」 「蜂谷は譲治の保護者みたいね。口振りから分かるわ。譲治が心配なのね。もちろん青空もね。だから、そんなに睨まないでよ」 ぷぷっと柚さんが笑った。 「もしかしてこの子……」 柚さんは希実さんの顔を見るなりハッとして息を飲んだ。 「ごめんね譲治」 「わ、わ、わ!」 突然柚さんに抱き締められ、譲治さんが驚いたような声をあげた。

ともだちにシェアしよう!