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番外編ごめんね
「あなたも九鬼と楮山に大切な家族を奪われた被害者だったのね。私何も知らないで、思い込みだけであなたを仇と勝手に決めつけて辛く当たっていた。ごめんね、譲治。許して」
柚さんの目から大粒の涙が零れ落ちた。譲治さんはどうしていいのかかなり戸惑っていた。助けを求めるように何度も蜂谷さんを見ていた。
「譲治、柚は龍成の姉だが遠慮することはない。言いたいことがあるなら自分の口でちゃんと言うんだ」
柚さんは達治さんが世話になっている縣一家の組長の妹。くれぐれも粗相のないように。口ごたえしない。反抗的な態度を取らない。耳にたこが出来るくらい口酸っぱく鍋山さんに言われていた譲治さん。柚さんに何を言われようが叩かれようがその言い付けをちゃんと守ってきた。
「俺は母親が嫌いだった。物で叩かれるか、グーで頭をぶん殴れるか二つに一つだった。こんなふうに抱き締めてもらった記憶がないんだ」
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