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番外編 覃さんは神出鬼没

覃さんは神出鬼没だ。どこから現れるか予想不能だ。 「仕事で福島を通過する予定が、いつもの癖でK駅で新幹線を下りてしまった。ものものしい警備体制が敷かれていて、VIPでもいるのかとお巡りに聞いたら菱沼組の関係者の葬儀があり、全国からヤクザの親分が集結していると聞いてマリに電話を掛けた」 「それで譲治の妹の葬儀だと知ったんだな」 「そうだ。それで線香の一本でもあげようと思って寄ったら、なんとなんとマイスイートハニーが目の前にいるじゃないか。これはまさに運命。思わぬご馳走によだれが出てしまった」 覃さんにハグをされ、挨拶代わりのキスで譲治さんの顔は大変なことになっていた。 「キスは好きな人とだけするものでは?」 「もちろんそうだが、欧米では挨拶代わりでもするぞ。それが普通だ」 「ちょっと覃!」 譲治さんに抱き付くと有無言わさずキスを繰り返す覃さん。 壱東さんは恥ずかしくてどこを見ていいか分からなくて、視線が宙をさまよっていた。

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