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番外編 優真くん立てこもる
「裕貴さん大変です」
佐治さんがひろお兄ちゃんを慌てて呼びにきた。
「どうした?何かあったのか?」
「坊っちゃんが押入れに立て籠ってしまい出て来ないんですよ」
「どういうことだ?」
「心さんが坊っちゃんが背負ってきたリュックサックのなかに荷物を入れているのを見て察したんでしょう。家に帰らない。ここにいると。まぁ、そんな感じです」
佐治さんが何か言いたげなそんな顔をしていた。
「優真は口がなかなか達者だからな。他にも言ったんだろう?怒らないから遠慮せずに言え」
「帰るならパパとママ。優真がいたら……裕貴さん、本当に言いますよ」
「あぁ、言っていいぞ。だいたい予想はついているから」
「チュチュ出来ないでしょう。赤ちゃんが出来ないでしょうと。勘弁してください。これ以上は恥ずかしくて言えません。俺、裕貴さんに恨まれるようなこと、何かしましたか?」
佐治さんの強面の顔が緩み、真っ赤に染まった。
「悪気があった訳じゃないから許してくれ。優真が通っている保育園でちょっとしたベビーラッシュで、優真の最近の口癖が、僕も弟が欲しいなんだ。こればかりはどうしようも出来ないからな」
「信じて願い続ければ地竜という名前のこうのとりが赤ん坊を運んできてくれる。俺も願っているんだ。いつか奏音に兄弟が出来ますようにって」
龍成さんの言葉にギクッとした。
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