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番外編 優真くん立てこもる
地竜さんと内緒だって約束したんだもの。絶対にバレちゃ駄目。思ったことがすぐに顔に出るからなるべく平静を装わないと。冷や汗をかきながらドキドキしていたら、見るに見かねた彼が、
「そういえば橘が呼んでいたぞ」
助け船を出してくれた。
「譲治のことは覃に任せておけ。イチも鍋山もいるし不埒な真似はしないはずだ。佐治、使って悪いが覃をしっかりと見張っておいてくれないか?」
「はい!オヤジ!誠心誠意努めます!」
彼に直々に頼まれるなんてめったにないことだもの。表情をきりりと引き締め、佐治さんが背筋をぴんと伸ばし大きな声で返事をした。
送別会を行う大広間に顔を出すと、準備もすっかり整い【ひろきさんとりゅうさんを送る会】と書かれた手作りの横断幕が飾られていた。その前にウーさんがいて亜優さんと何やら作業をしていた。
「ひろきさんをゆずさんに変えるみたいですよ」
「優真くん喜びますね。一太たちと遊べるって」
「裕貴さんもやはり人の子。優真くんには弱いですからね」
橘さんが子どもたちに彼と龍成さんたちを呼んでくるように頼んだ。
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