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番外編優真くん立てこもる
「まさか優真を利用するとはな。相変わらず策士だよな。まずは外堀からってな。昔と全然変わらねぇよな橘は」
ひろお兄ちゃんがぶつぶつと独り言を言いながら広間に入ってきた。
「誰が策士ですって?人聞きの悪いことを言わないでいただきますか?」
「た、橘!」
まさかいるとはこれっぽっちも思ってもいなかったのだろう。飛び上がるくらい驚いていた。
「い、いつからそこにいたんだ」
「いましたよ、ここに。ずっと前から。貴方も遥琉と同じで未知さんしか眼中にないくらい分かっていますよ。どうせ私なんか」
「悪気があった訳じゃない。そう聞こえていたなら謝る」
「別にいいですよ。気にしていませんので。それはそうと裕貴さん」
「なんだ」
「余計なことは言わないほうがいいですよ。壁に耳あり障子に目ありとよく言いますしね。どこで誰が聞き耳を立てているとも限りませんしね」
橘さんに睨まれ体が思わず縮み上がるひろお兄ちゃん。彼と同じで橘さんが相手だとどうも調子が狂うみたいだった。
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