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番外編 譲治さんのもう一人の弟

「姐さん、いいですか?」 譲治さんが覃さんに手を引かれて姿を現した。 「目が覚めるなり未知にどうしても話したいことがあると頼まれたからこうして連れてきた。佐治付きでな」 ちらっと後ろを見ると佐治さんが二人にぴたりと張り付いていた。 「送る会がはじまるならあとにする」 「信孝さん一家待ちなのでまだはじまりません」 「そうかかたじけない」 「立ち話もなんですから、未知さん、覃さん、譲治さんこちらにどうぞ」 橘さんが出入口に一番近いテーブルに案内してくれた。 「名前はそうじだ。達治には双子がいた」 譲治さんがぽつりぽつりと話しはじめた。 「何で隠す必要があるって?九鬼はダンベイの木村に跡継ぎがいなかったから養子としてそうじをくれた。九鬼は俺より悪趣味だったみたいだ。上には上があるって本当だな。九鬼と木村は譲治の母親を共有し、複数変態プレイを楽しんでいたらしい。しかも譲治の目の前で。それを見せつけていた」 木村という名字をつい最近聞いたことがある。確か緑竜さんの日本名は……。 「橘さん、もしかして緑竜って……」 「未知さんも気付きましたか」 橘さんが険しい表情を浮かべていた。そんなまさか。でもあり得ない話しではない。

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