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番外編譲治さんの弟

「そうじはね、俺と違い愛嬌がいいから可愛がられた。母の肩にあの人のモノの印がついてあってそれを隠す刺青を彫りたいから刺青師になりたい。そう話していた」 「譲治さん、最後にそうじさんに会ったのはいつだったか覚えていますか?」 「う~~ん、いつだったけ?すぐ忘れるんだ。覚えるのがどうも苦手で、思い出すのも苦手なんだ」 「焦らなくていいですよ。ゆっくりで」 「桜。鯉のぼり。海。紅葉。イルミネーション。初詣。あと日本に何がある?日本語は難しいな」 「そうだ。イルミネーションだ。あんた誰って睨まれておもいっきり無視をされた。俺には兄はいないってはっきりと言われた」 「母親が母親なら子も子ですね。そうなるとクリスマスの時期ですね。未知さん、りょうお兄ちゃんの出番ですよ」 「りょうお兄ちゃん?」 「可愛い妹に頼まれたら断れません。こういうことは達治さんに直接聞いたほうが手っ取り早いです」 「未知、電話ならほら貸してやる」 ひろお兄ちゃんがにこにこしながら隣に座ってきた。 「浮気をしているとカミさんにチクるぞ」 「あのな覃、未知は妹だぞ」 「そうなのか」 「そうだよ。知っている癖にすっとぼけるな」 ひろお兄ちゃんと覃さんのやりとりを譲治さんはあんぐりと口を開けて見ていた。

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