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番外編譲治さんの弟

ー龍が迷惑を掛けて兄貴に叱られた。図星だろう?ー 「え?」 ーもしかして違うのか?ー 「はい」 「達治さんのことです。詳しいことは龍成さんからのメールを見てください」 ーメール?ー 怪訝そうな声が返ってきた。 「もしかして届いてませんか?」 ー光希のほうにメールをしたのかも知れない。俺より光希がいいだろうー 「そんなことはないです。龍成さんシャイだから面と向かってりょうお兄ちゃんに言うのが恥ずかしいのかもしれません。りょうお兄ちゃん、譲治さんのことなんですが、達治さんに怒られるとすごく怯えてしまってパニックになって大変だったんです」 ーそうか。達治は自分のことだけじゃない。兄妹の話しもまったく話そうとはしないんだ。雑談には応じるが、兄妹のことになると貝みたく固く口を閉ざしてしまう。あんまりしつこく聞くと嫌われるからな。難しいなー りょうお兄ちゃんが深いため息をついた。 「さすがは未知。分かってるじゃないか」 「俺の自慢の妹だからな」 温かくて大きな手が僕の手を包み込むようにそっと握ってくれた。 ー裕貴、どさくさ紛れて未知の手を握ったりしていないだろうな。こっちはな未知と手を握りたくても出来ないんだぞー りょうお兄ちゃんはなんでもお見通しだ。ひろお兄ちゃんがどきっとして冷や汗をだらだらと流していた。

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