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番外編 負の遺産を奏音くんの世代まで背負わせてはいけない
「もし一太がいなかったら儂も遼禅と同じように遊び呆けて好き勝手なことをして、息子たちに迷惑を掛けていただろうよ。一太が儂を変えてくれた。一太や孫たちに無様な姿を見せる訳にはいかないからな。いつまでも元気でカッコいいじぃじでいるためにも長生きしないとな」
にっこりと微笑むと一人ずつ子どもたちの頭を撫でてくれた。
「龍成、この際だ親子の縁を切ったらどうだ?負の遺産を奏音の世代まで背負わせてはいけない。このままいったら共倒れになるのは目に見えている。遼禅のことだ。柚をまた利用するとも限らない。見ないうちにみんな大きくなったな」
膝の上に立ちぽんぽんとジャンプする太惺と優真くん。お義父さんがひっくり返らないかひやひやしていたら、
「じぃじがつぶれちゃうよ。じゅんばん」
一太がすぐに来てくれて。一人ずつ膝の上に登らせてくれた。
「孫がめんげぇーならとうの昔に変わっている。孫のいない俺らにとって、孫が六人もいる遼禅が羨ましいよ。伜たちと嫁が死ぬ気で大所帯の組を守っているんだ。何が不服なんだか。上総呑むのに付き合ってくれ。一人酒は寂しい」
ほろ酔い気分の度会さんがお義父さんを呼びに来た。お祖父ちゃんはほとんどお酒を呑まない。愚痴でも何でも黙って話しを聞いてくれるからここに来ると若い衆から古参の幹部まで自然とお祖父ちゃんのまわりに集まるから、度会さんもお義父さんもひとりになってしまう。
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