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番外編以心伝心

白い月と星々をちりばめた夜空を見上げると、離れて暮らすお姉ちゃんの顔が浮かんだ。無性に声が聞きたくなって電話を掛けようとしたら、着信音が鳴ったからビックリした。 ー未知の声がどういうわけか聞きたくなってね。今大丈夫?取り込み中?ー 「大丈夫です。僕もお姉ちゃんの声が聞きたくて電話を掛けようとしていたんです」 ーあらそうなの。嬉しいわ。まさに以心伝心ねー 普段と変わらないお姉ちゃんの明るく元気な声を聞けてほっとした。 ー龍と柚はそっちを出た?ー 「まだです。龍成はお義父さんと度会さんにつかまっていて、柚さんは具合が悪くて寝込んでいます」 ー仮病じゃないの?アタシの可愛い妹にずいぶんとまぁ好き勝手なことを言ったんでしょう。許せないわー 「お姉ちゃん、柚さんにも色々と事情があって、だからそのあまり怒らないであげてください。それと、ひろお兄ちゃんのことも。本部の会合をすっぽかして福島に残ったから、りょうお兄ちゃんにみっちり絞られて反省していたので。あのお姉ちゃん?」 ぷぷぷと笑い声が聞こえてきた。 ー未知が遼成のことを自然とお兄ちゃんって呼べるようになったでしょう。だから嬉しいのよ。隣でダーリンが騒いでいるから代わるわねー 心の準備がまだなのに。どうしよう、どうしよう。焦ってしまい、頭の中が真っ白になってしまった。

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