2820 / 4015

番外編焼きもちやきの本領発揮

「夫婦仲がいいのは分かってるわよ。これ見よがしに見せ付けないでくれる?」 髪をタオルで拭きながら柚さんが姿を現した。 「なんだもう起きたのか。明日の朝まで起きてこないと思っていたぞ」 「五月蝿くておちおち寝てもいられないわよ。それに私は龍成と一緒に東京に帰るの」 「その格好でか?」 「別にいいでしょう。こんなおばさん誰も見ないわよ」 柚さんは上下紺色のスウェットを着ていた。 「そう思っているのは柚、きみだけだ。もうちょい可愛くして帰ったらどうだ?」 「は?冗談でしょう」 「こんなこと冗談で言えるか。めぐみたちはいつまでも若々しく綺麗なママでいて欲しい、笑顔が素敵なママでいて欲しい、そう願っている」 彼が目で合図をすると、今度はフーさんが現れたからビックリした。気配を全く感じなかったから尚更だ。 「フー、リンリンみたく柚も可愛くイメチェンしてやって欲しい。世の男どもが思わず立ち止まり振り返るくらいにな」 フーさんは水色のワンピースを手に持っていた。 「俺からのささやかな餞別だ」 柚さんは自分のことは自分で出来るからほっといてとフーさんに言ったけど日本語が通じなくて。フーさんに有無いわさず連れていかれた。

ともだちにシェアしよう!