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番外編柚さんの目を覚ましたものは?
「スカートなんて久し振りに着たから、どう似合っている?」
「はい。すごくお似合いです」
「そう?」
照れながらも嬉しそうに微笑む柚さん。スタイル抜群だから細身の体に水色のワンピースがとてもよく似合っていた。
「聞くだけ無駄だとは分かっていたけど龍に聞いたの。卯月は朝一番に未知に会ったらおはようと言って、挨拶代わりのキスは忘れない。未知の髪型が変わるとすぐに気づく。未知が体調が悪そうな時は一目でわかる。未知の腰や肩を揉んだりマッサージをしてやる。些細な事なんだろうけれどね。一央は私が化粧を変えても髪を切ってもなかなか気付いてはくれなかった。めぐみに言われてはじめて気付いて。あ、そうなんだ。たったそれだけ。転んでおでこにたんこぶが出来たときも一央が気付いたのは翌日よ。夫婦ってこんなものなんだって。諦めるしかなかった。もっともっと綺麗になって一央をぎゃふんと言わせてやる。捨てたことを後悔させてやる。そうじゃないと腹の虫がおさまらないもの。フーだっけ?すごいね。顔や手のマッサージもしてくれて、メイクだけじゃなくネイルもこの通りばっちり。ヤクザにしておくのがもったいない」
柚さんが何かに気付きくすっと笑った。
「噂をすれば影だね」
目を細めバタバタと走ってきたのは彼だった。
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