2824 / 4015
番外編柚さんの目を覚ましたものは
「あ、それ」
めぐみちゃんと優輝くんの声が見事にハモった。
「先日公民館主催でレザークラフト無料体験教室があったのよ。私は出掛ける用事があったから、度会が子どもたちを連れて参加したの。海翔くんは友だち数人と参加していたみたいよ。柚さん、夕御飯まだでしょう」
紫さんが紙袋を柚さんに渡した。
「ありがとうございます。あの、紫さん」
「どうしたの?改まって」
「めぐみと優輝と幸をどうか、どうか、宜しくお願いします」
下げられるところまで頭を下げる柚さん。
「止してよ」
紫さんが柚さんの肩をぽんぽんと撫でた。
「遥琉さんの口癖はね、子どもはかけがえのない宝物。うちの子よその子関係ない。みんなで育てる。だから気にしないで」
「愛妻家で子煩悩だということを嫌でも見せ付けられました」
「そうでしょう。見ているこっちが恥ずかしくなるくらい朝から晩までアツアツなんだもの。いいわよね」
「紫さんの言う通りです」
話しが盛り上がる紫さんと柚さん。頬を微かに赤く染めた彼がゴボンゴホンとわざとらしく咳払いした。
ともだちにシェアしよう!

