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番外編信孝さん、焼きもちを妬く
「オヤジ」
廊下から声が聞こえてきた。
「遥琉兄貴は風呂だ。どうした鞠家?」
「おやっさんから言伝を預かってきた。出直してくる」
「いや、待て」
ひろお兄ちゃんがむくっと起き上がった。
「火急の用なんだろ?代わりに聞こう」
陽葵をそっと抱き上げてくれた。
「オムツが濡れているから気持ちが悪いんだろう。交換してくる。未知は寝てていいぞ」
「あ、でも、お兄ちゃん……」
「オムツ交換くらい出来る」
おならが止まらないみたいで、陽葵は自分のおならの音に驚ききょとんとしていた。
ひろお兄ちゃんはいとおしそうに微笑み、陽葵に話し掛けながら廊下に出ると、
「伊澤がどうした?」
がらりと声色が変わった。
これには鞠家さんも、ちょっと変わりすぎじゃないか?苦笑いを浮かべていた。
「伊澤の勘はよく当たる。おおかたそうだとは思っていたが。なるほどな」
慣れた手付きで手際よくオムツを交換するひろお兄ちゃん。ゆるゆるうんちにびびるひろお兄ちゃんではない。
「サツは信用ならない」
「同感だ」
キリリと引き締まった鞠家さんの横顔に、にっこりと微笑むひろお兄ちゃん。若頭としてますます箔がついた鞠家さんに感動したみたいだった。
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