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番外編似た者夫婦

ふふっと微かに橘さんが自嘲した。 「似た者夫婦とはまさに私と柚原さんのことなのかも知れませんね」 「もしかして橘、那奈に同じことをしていたとか……」 「えぇ。そうですけど、何か問題でも?」 「いえ、ありません」 眉ひとつ動かさず真顔で答える橘さんに、心さんと七海さんの顔からさぁーーっと血の気が引いた。 聞いてはいけないことを聞いてしまったと二人が気付いたときは遅かった。決して開けてはならないパンドラの箱を二人は開けてしまったのかも知れない。 「私もそうでしたし、柚原さんの気持ちも分からない訳ではありません。弓削さんとヤスさんにそんな過去があったんですね」 「優璃、ここにいたんだ。トイレからなかなか戻らないから心配したぞ」 廊下から柚原さんの声が聞こえてきてドキッとした。心さんと七海さんも肝が冷えたと思う。 「姐さん会に混ぜてもらってました」 「そうか。それならゆっくりしてきたらいい。布団を温めて待ってるから。姐さん、優璃をお願いします」 そう言うと柚原さんは自分の部屋に戻っていった。

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