2839 / 4015

番外編 似た者夫婦

翌朝。雲ひとつない青空が広がっていた。 「一太、奏音くん忘れ物はない?」 「うん。ない。行ってきます」 「未知さん行ってきます」 「行ってらっしゃい」 ランドセルを背負い元気いっぱいに手を振りながら小学校に向かう二人。でもすぐに戻ってきた。 「ママ、きゅうしょくぶくろわすれた」 「未知さん、かなたは運動着」 「ちょっとここで待ってて。ママ持ってくるから」 家に戻ろうとしたら、 「ほら二人とも忘れているぞ」 ひろお兄ちゃんが給食袋と運動着袋と水筒を二つ持ってきてくれた。 「今の小学生は月曜日からこんな大荷物なのか。大変だな」 「お弁当のときはもっと大変だよ」 「水着ももってかないといけないもの」 「そうか。まぁ、二人とも若いんだし気合いを入れて頑張れ」 「うん、がんばる」 「おじさんありがとう」 一太と奏音くんが笑顔で手を振りながら登校して行った。 「そういえば三時頃無事に家に着いたって龍から電話があった。到着そうそう柚が達治を叩き起こし、隠していることを洗いざらい遼に話せって目を吊り上げて詰め寄ったらしい」 「柚さんが?」 「あぁ。さすがの達治も怯えて縮み上がっていたみたいだ。縣家の女は気性が荒いからな。怖いってもんじゃない」 ひろお兄ちゃんがぶるぶる震えていた。

ともだちにシェアしよう!