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番外編嫌な予感
「この先の信号機のない交差点で黒いファミリーカー同士が出会い頭にぶつかったみたいでパトカーと救急車が何台も停まってました。片方の車の運転手がまだ車内に閉じ込められているみたいです」
「ナンバーは見てきたか?」
「はい。いつもカシラにほんの些細なことでも手がかりになる。目で見たこと、耳で聞いた音や声、鼻で感じた匂い、それらを全部頭に叩き込んで、上に報告と口酸っぱく言われているので、この目でしかと見てきました」
「そうか。元デカの鞠家らしいな」
ひろお兄ちゃんがふふっと微苦笑を浮かべた。
「裕貴さん、片方は県外ナンバーでした。前にも何度か見たことがあるナンバーなんですが、不思議なことに車種も色も違うですよ」
「もしかしたら盗難車かも知れないぞ」
「あぁ、なるほど」
「だからか、片方の車の運転手の所在が分からない。大至急確認しろとサツが話していたんだ」
「それは本当か?」
ひろお兄ちゃんの顔色ががらりと変わった。
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