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番外編嫌な予感
「ただの交通事故じゃないかもな。犯罪の匂いがする」
玄関の戸がすっと開いて伊澤さんが現れたから腰を抜かすくらい驚いた。
「播本と上総に朝風呂に付き合わされた。二人とも長風呂だからな。延々と姐さんと子どもたちの話しで盛り上がっていた。あと五分入っていたら間違いなく逆上せていた。姐さん、根岸を見ませんでしたか?」
首に掛けたタオルで額の汗を拭った。
「根岸さんですか?」
「度会に捕まって、どこかに連れて行かれたんだ。たった一時間だが、こんなにも長い時間根岸の側から離れたことがないから、根岸に何かあったらと心配でたまらないんだ」
「羨ましいです。ラブラブで」
「そうか?照れるじゃないか」
伊澤さんが頭を掻いた。
「一応、新婚だからな。そういう裕貴さんだって心さんとラブラブな癖に」
「兄貴には負けます」
「それな」
ひろお兄ちゃんと伊澤さんが顔を見合わせるなりぷぷっと吹き出した。
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