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番外編伊澤さん、焼きもちを妬く
「とんずらした運転手、どうやらサツに職務質問をされて免許証の提示を拒否し猛スピードで逃げたらしいぞ」
根岸さんが度会と一緒に戻ってきたのはそれから五分後のことだった。
「あやまった。なじょすっぺ」
くしゃくしゃと頭を掻く根岸さん。
「どうしたんですか?」
「伊澤が口を聞いてくれねぇんだ。人がどんな思いでいたか分かっかって聞かれてもな。困っちまうべした」
いつも側にいてくれる根岸さんがいなくて心細かったし、姿が見えなくて心配でたまらなかった。だから、何事もなかったように度会さんと談笑しながら帰ってきた根岸さんに対し、伊澤さんが焼きもちを妬いたと正直に話すか悩んだ。
「人の気も知らねでって、俺、何かしたか?」
「根岸さん、簡単なことだ」
ひろお兄ちゃんが胸に手を当てた。
「胸に手を当てろってか?」
「そうだ。思い当たる節が見つかるはずだ」
ひろお兄ちゃんに言われ胸に手を当てる根岸さん。しばらく考えたのち、
「伊澤に謝ってくる」
慌てて駆け出した。
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