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番外編不吉な予感

「橘さん、子どもたちのことをお願いします」 「任せてください」 「陽葵がお腹が空いたって泣いたら電話をください。駅前にいるのですぐに戻ってきます」 「三時間くらいはいつも寝てますから大丈夫ですよ。お腹が空いたら、遥琉のを吸わせておきますので」 「……」 どう答えていいか言葉に詰まった。 「なんてね、冗談ですよ」 橘さんが愉しそうにくすくすと笑った。 「未知、用意出来た?」 心さんが優真くんの手を繋ぎ呼びに来てくれた。 「優真、おじちゃんと遊ぶぞ。おいで」 彼が手招きすると、 「うん、あそぶーー!」優真くんは目をキラキラと輝かせ彼の胸元に飛び込んでいった。 「橘、優真のことお願いね」 「遥琉に任せておけば大丈夫です。心配無用です。未知さん、心さん、裕貴さんを待たせると悪いですよ。行ってらっしゃい」 橘さんに見送られ、心さんと急いで玄関へ向かった。 ひろお兄ちゃんと鞠家さんが眉を寄せて、険しい表情で立ち話しをしていた。 「ハチたちは一足先に美容室に向かった。行きましょうか」 鞠家さんがあたりを警戒しながら、駐車場まで先導してくれた。 「足元がふらついているな。未知大丈夫か?焦る必要はない。予約した時間に十分間に合うからゆっくりでいいぞ」 ひろお兄ちゃんと心さんが両隣に立ち、僕の歩調に合わせてゆっくりと歩いてくれた。

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