｢度会さんと紫さん。上総さんと茨木さん。それに根岸さんと伊澤さん。同じ世代なので話しが合う相手がいるのが嬉しいです。あ、でもたまにですが声を掛けずらいときがあって、声を掛けるタイミングが難しいときがあります。本当に皆さん仲がいいですよね。あ、すみません。何を言っているんだか自分でもよく分からなくなってしまいました」 照れ笑いを浮かべる壱東さん。 ｢見合いでもしたらどうだ？」 ｢へ？」 ちょうど信号機が赤に変わり、慌ててブレーキを踏む壱東さん。前に体が持っていかれそうになったけどシートベルトをしていたから事なきを得た。 ｢姐さんすみません。お怪我はありませんか？安全運転を心掛けないといけないのに。本当にすみません」 ｢壱東さん、僕も心さんも大丈夫ですから謝らないでください」 何度も頭を下げられどうしていいか分からなくなってしまった。 ｢人生一度きりだ。壱東の人生は壱東のものだ。他人に遠慮する必要はない。だからこれからは自分の好きなように生きてみたらどうだ？福島には別嬪さんが多いと度会さんが話していたぞ」 信号が青に変わりゆっくりと車が走り出した。 ｢そうですね。でも私は……」 そこで言葉を止めるとハンドルをぎゅっと握り締めた。