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番外編白雪夫妻

「先に一服したらどう?」 ハサミでチョキチョキと前髪をカットしながらハツさんが久弥さんたちに声を掛けた。 「じゃあ、お茶を準備します」 「心さん悪いわね。お客さんなのに使ってしまって」 「気にしないでください。ハツさん台所借ります」 「えぇ、どうぞ」 心さんは席を立つと奥にある台所へと向かった。義夫さんと鉢合わせにならないといいけど。 義夫さんは同性同士が交際することを快く思っていない。ましてや同性同士の夫婦なんてあり得ない。言語道断だと真っ向から否定している。 「こんな感じでどうかしら?前髪は揃えたし、手入れしやすいように髪の量を調整したからすっきりしたでしょう?」 「はい。ハツさんありがとうございます」 ぺこっと頭を下げた。 「そんなに急いで食べたら喉に詰まりますよ」 義夫さんは憮然とした表情でじんだ餅を口のなかに次から次に押し込んでいた。心配したハツさんが声を掛けると、 「喧しい。休みの日にこんなに大勢で押し掛けられてこっちはえらい迷惑なんだよ」 ぷいっとそっぽを向いてしまった。 「了慧くんが哀しむわよ」 「儂はヤクザなんて大嫌いだ。金輪際二度と関り合いを持ちたくないのに。どいつもこいつも。なんなんだ一体」 「了慧くんも言ってたでしょう。卯月さんは違うって。弱いものの味方だって」 「信じられるか……ううう……!」 義夫さんが呻き声をあげ突然苦しみ出した。

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