2860 / 4015

番外編白雪夫妻

「心、未知、飯を食べに行こう。ハツさん定休日なのに妹のために店を開けてくれてありがとう。世話になった」 ひろお兄ちゃんが財布からお金を取り出そうとしたら、 「卯月さんからカット代はもらっています。いただく訳にはいきません」 ハツさんがあわてて首を横に振った。 「裕貴さんもその……卯月さんと同じヤクザなんですか?」 「どうしてそう思った?」 「卯月さんと同じ目をしているので……」 義夫さんをチラチラと見ながら、ハツさんが気まずそうに返した。 「東京にある龍一家という組の組長をしている」 「龍一家?どこかで聞いたような……」 「東日本最大の勢力を誇る昇龍会の直参だ。卯月さんもあんたもずいぶんと若いのに組長か。いいご身分だこと」 義夫さんが嫌悪感を露にした。 「卯月は本部の若頭も兼務している」 「了慧くんはそんなすごいかたのもとで働いているんですね」 「あぁ、そうだ」 「鼻が高いわ~~」 ハツさんがぱちんと両手を叩いた。 「呑気だなお前は」 お茶を飲みながら義夫さんがやれやれと大きなため息をついた。 ひろお兄ちゃんが壁に飾ってある写真に気付いた。なるほどね。独り言を口にするとほくそ笑みを浮かべた。

ともだちにシェアしよう!