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番外編念願のランチ会

「あら、お久しぶり~~ひろくん」 席に着くなり髪の長い女の人に……声は男性のものだったけど声を掛けられ、ウィンクされ、投げキッスをされたひろお兄ちゃん。 「誰だお前は?知らないぞ」 警戒心マックスで女の人を睨み付けた。 「アシタよ、アタシ」 「だから知らないって言ってるだろう」 「もうしょうがないわね。大ヒントよ。俺だ」 最後のその台詞にぴんと来たひろお兄ちゃん。 「げ、なんでお前がまだ福島にいるんだよ。飼い主と一緒に中国に帰ったはずだろ?」 「それがね」 長い髪を指で弄びながら宋さんが言葉を継いだ。 「話せば長くなるんだけど、とりあえずアタシも一緒に座ってもいいかしら?」 「定員オーバーだ。他をあたれ」 「アタシとひろくんの仲じゃないの。冷たくしないで」 「宋、死にたくなかったら今すぐにその女声を止めろ」 ひろお兄ちゃんに睨まれて怯む宋さんではない。 「公にはなっていないが、搭乗予定だった飛行機から爆発物が見付かった。ボスが犯人だと匿名の通報があった。犯人はボスがいくつかの偽名を使い分けていることを知っていた。公安が秘密裏に捜査をはじめた。動けなくなった。説明は以上だ」 手短に話すとオーダー用のタッチパネルに手を伸ばした。

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