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番外編命だけは粗末にするなよ
僕たちの姿を見付けるなり若い衆たちが我先にと駆け寄ってきた。
「姐さんが無事で良かった」
「心臓がいくつあっても足りません」
緊張して固かった表情も、安堵したのか和らいでいた。
「ごめんなさい。心配を掛けて」
軽く頭を下げた。
「なるべく目立たないようにして事務所に帰るから、そこで車を待機させておけと言ったのに、誰一人話しを聞いてないとはな。参ったな」
鞠家さんがやれやれとため息をついた。
「舎弟たちの心配性はオヤジに似たんだろう。若井をちゃんと見張っておかないと何をしでかすか分からないからな」
鞠家さんたちの後ろを、ひろお兄ちゃんと心さんと三人でついていった。のどかな平日の昼下がり。駅前通りは人も車もまばらだ。にも関わらずパトカーが何台もパトロールをしていて物々しい空気に覆われていた。
「宋のストーカーは神政会の構成員だ。俺らのカシラを騙るとは罰当たりな連中だ」
若い衆たちが憤慨していた。
「俺らのか」
ひろお兄ちゃんが感慨無量といった面持ちでふふっと笑った。
「どうした裕貴?」
「若頭としてますます箔がついたな。そう思っただけだ。鞠家がいれば菱沼組は安泰だな」
「別に俺はなにもしていない。オヤジがすごいだけだ」
鞠家さんの謙遜な態度に、ひろお兄ちゃんが安心したように胸を撫で下ろした。
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