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番外編痴話喧嘩

「オヤジ、渋谷から電話がありました」 信孝さんの声が廊下から聞こえてきた。 「宋、てめえーー!喧嘩を売っているのか!」 開いている戸の隙間から彼に抱き付く宋さんの姿が見えたみたいで、ぽきぽきと指の関節を鳴らしながら信孝さんが怒り心頭の様子で部屋に入ってきた。 「オヤジに触れていいのは姐さんと俺だけだ。さっさと離れろ」 「おい、おい、俺の存在を忘れていないか?」 騒ぎを聞きつけたひろお兄ちゃんが駆けつけて。彼を巡り両者睨み合い。まさに一触即発の状態になってしまった。 「幸ちゃん危ないからおいで」 手招きすると幸ちゃんが胸元に勢いよく飛び込んできた。 「喧嘩はやめて。幸ちゃんが怯えている。それに陽葵が起きるから」 誰かいないかな。あたりを見回した。紗智さん七海さん。橘さん柚原さん。お願いだから気付いて。足を崩して座れば良かったのに、いつもの癖で正座で座っていたから足がじんじんと痺れてしまいすぐに動くことが出来なかった。 「闭嘴《ビ ズゥェ》!」 ウーさんの怒声に続き、しーと亜優さんが人差し指を唇の前に立てた。 「何をしているんですか、いい年した大人が。喧嘩をするなら子どもが見てないところでしてください!」 橘さんの雷も落ちた。

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