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番外編怒り

彼に電話が繋がらないと橘さんの携帯に渋川さんから電話が掛かってきた。 ー可愛い子なら男でも女でもすぐに手を出し、来る者は拒まない。節操なしの両刀使い。二股、三股は当たり前。今までがそうだったから、陰口を言われても否定することが出来ないんだ。自業自得だな。兄貴には真山一人にしておけ。真山を大事にしろ。泣かせるな。散々忠告をされてきたのにな。真山が側にいるのが当たり前で、真山の隣は俺の指定席みたいなものだったから、まさか真山を他の女に取られるとはこれっぽっちも思わなかったー 「誰だって面白くないでしょう。お帰り渋川。移動で疲れただろう?ご飯どうする?真山さんがドアを開けたら、さっき知り合ったばかりの若い男とベットの上で全裸で絡み合っているんですから。それも一回や二回じゃない。十回以上は浮気現場に遭遇したと。愛想をつかれるのも当然といえば当然です。真山さんはよく耐えてあなたに黙って尽くしてたと思いますよ。たいしたものです」 語気を強める橘さん。 ー……っ、ん……ー 甘い吐息みたいな、くぐもった声が漏れ聞こえてきた。 「真っ昼間からずいぶんとまぁ楽しそうに盛り上がっているみたいですが、あなたの下で喘いでいる男に、警察が保護しているあなたのおばあちゃんをすぐに迎えに来いと言ってもらいますか?現実から目を背け逃げてばかりいないで現実を見ろと伝えてもらえませんか?あなたたちみたいに暇じゃないので切りますよ」 ぶちっと一方的に電話を切った。

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