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番外編ありがとう鞠家さん
「未知、何できみが酒を運んでいるんだ?寝てないと駄目だろう。腰痛を甘く見るなよ。いいか腰痛が長引く原因はなだな」
彼に不意に声を掛けられたからぎくっとした。
「兄貴、そのくらい未知だって分かっているよ。播本さんと上総さんに酒を持ってきてくれと頼まれたら無下に断れないだろ?」
「それもそうだな」
「まだ明るいのに酒盛りがはじまったのか?」
「お祖父ちゃんとお義父さん、岳温泉に帰ると度会さんに言ったら一杯でいいから付き合えってはじまって、一杯が二杯になり、二杯がいつの間にか徳利一本になっていたみたい」
「そうか。親父たちの酒の相手は森崎と鞠家に任せて横になれ」
「え?鞠家さん」
彼に言われドキッとして振り返ると、本当に鞠家さんが立っていたからビックリした。
「姐さん、あとは俺に任せて下さい」
「ありがとう鞠家さん。鞠家さんだって疲れているのに」
「こんなの疲れているうちに入りませんよ。森崎、穴が空くくらいじっと見つめられたら話すものも話せなくなるだろ?」
「なんで分かったんだ?」
「バレバレだ」
柱の影に隠れていた森崎さんが頭を掻きながら姿を現すと、久弥さんは耳まで顔を真っ赤にして下を向いた。
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