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番外編ありがとう鞠家さん
「なぁ、久弥。兄ちゃんが東京に行く前に目がああだこうだっていってなかったか?」
柚原さんが部屋に入ってきた。
「腹を冷やすとあとで来るぞ」
ひろお兄ちゃんと信孝さんのお腹に持ってきたタオルケットをそっと掛けてあげた。
「お、気がきくじゃないか」
「ありがとう柚原」
「本当はキンキンに冷えたタオルを顔に掛けてやろうかと思ったんだがな。そうでもしないと子どもたちへ示しがつかないだろう?会えば必ず喧嘩で反省のはの字もないだろ?」
固い表情で二人を見下ろす柚原さん。かなりご立腹の様子だった。
「頼むから優璃を怒らせないでくれ。俺や子どもたちはみんな優璃の笑った顔が好きなんだ。怒った顔は見たくない。俺の言いたいことは以上だ。オヤジ、邪魔して悪かった」
柚原さんが何事もなかったように部屋から出て行こうとしたら、
「柚原さん待って!」
久弥さんが慌てて呼び止めた。
「その目で思い出した。彼に似てるって兄ちゃんが」
「彼?」
「そう、あの人……」
久弥さんの手が震えていた。
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