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番外編子煩悩な国井さん
プルル……。
ー 未知か?ー
国井さんが本当にワンコールで電話に出てくれたからびっくりした。
「あ、あの……えっと……」
緊張からか頭のなかが一瞬真っ白になってしまい、しどろもどろになっていると、
ー緊張することもあるまいー
ふふっと国井さんに笑われてしまった。
ーチカから遥琉の番号で電話が掛かってくる。妹からだから絶対に出てよってさっき電話があったんだ。どうした?何かあったか?ー
「千夏さんが行方不明になったとき、まるで神隠しにあったように忽然と姿を消した若い女性がいなかったか、国井さんなら何か知っているんじゃないか、そう思って。寝る暇もないくらい忙しいのに本当にごめんなさい」
ーなんで謝る?可愛い妹の声が聞けてすごく幸せだ。遥琉や裕貴の頼みなら仕事が忙しいを理由に即刻断るが、未知の頼みなら二つ返事で引き受けるよ。もしかしたら千夏がひた隠しにしている秘密を暴く突破口になるかも知れないからなー
「国井さん、お願いします」
ーおぅ、任せておけ。未知、子どもたちは?ー
「みんな元気に家のなかを走り回ってます。泣いたり、笑ったり、たまに喧嘩したり。毎日賑やかです」
ーそうか?未知の足下に誰かいないか?ー
「誰もいま……」
何気に視線を感じて下を見ると、太惺と心望がじっーーと僕を凝視していたから二度びっくりした。
「なんで分かったんですか?」
ーなんとなく。そんな気がしたんだ。その声はたいくんとここちゃんか。おじちゃんの声が分かったのか?そうか、そうか。おじちゃんに会いたいって?おじちゃんも二人に会いたいよー
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