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番外編俺も、この子を守りたい
「阿部は四季の弁護を出世払いでいいと無報酬で引き受けてくれた。先月、四季は初めての給料を阿部に渡そうとしたが、阿部はそれを断った。匿名の人物から弁護料が現金書留で送られてきたみたいだ」
「もしかして副島が?」
「いや、副島ではない。筆跡が違うと斎藤と吉村が断言している」
「そうか」
大事な話しをしているんだもの。邪魔してはいけない。頭では分かってはいたけど、同じ両性同士。ほっとくなんて出来なかった。
「あのね遥琉さん。例えばね、僕みたく四季さんにも出生の秘密があるとしたら?円谷さんはそれを知ってて、四季さんを監視するために自分が運営している施設に入所させたら?辻褄が合わない?」
「驚いたな。未知も俺と同じことを考えていたとはな」
彼が嬉しそうに笑んだ。
「円谷さんには一方的に離婚させられた奥さんがいるんでしょ?奥さんが円谷さんの裏の顔を知り、謝罪の意味で現金書留を送ってきたとも考えられない?弁護料がいくらかかったか、分かる人間は限られるもの」
青空さんが瞬きもせずに写真をじっと眺めていた。それに気付いた彼が「青空」と声を掛けると、
「オヤジ、四季の隣に写っている二人、そっくりだ。兄妹じゃないのか?」
突拍子もないことを言い出したら、一瞬し~んと静まり返った。
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