2970 / 3635
番外編災いの、連鎖
間一髪入れずりょうお兄ちゃんから電話が来た。
ーさっきのメールは何だ?ずいぶんとまぁ、いい度胸をしているな。あと何分でこっちに着くんだ?ー
「あと何分と聞かれてもなぁ。十時間はかかるぞ」
は?りょうお兄ちゃんの声色が変わった。
「この大雨で高速道路が通行止めで明日帰ることにしたんだ。心と未知が隣にいる。まさに両手に花。俺は果報者だ」
ー喧嘩を売っているとしか思わんがー
「勝ち目のない喧嘩は売らない。ただ自慢しているだけだ。メールは俺じゃなく未知からだ。代わるか?」
ーいや、いいー
「強がることないだろ?」
ー誰が強がっているって?ー
「未知と話したい癖に痩せ我慢するな」
ひろお兄ちゃんからスマホを渡された。
「りょうお兄ちゃん」
ドキドキしながら話し掛けると、
「未知」りょうお兄ちゃんじゃなくて光希さんの声が聞こえてきた。心配そうな声だった。
「光希さん、お久し振りです」
ー久し振り。声を聞けて嬉しい。未知は?ー
「僕も嬉しいです」
ーごめんね。しょうもないことで喧嘩して騒いで。はた迷惑もいいところだよねー
「しょうもないことじゃないです」
首を横に振った。
ともだちにシェアしよう!