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番外編災いの、連鎖

すっと戸が開いたような気がして顔をあげると、彼の足が目の前にあったから驚いた。しーと、唇の前に人差し指を立てて彼が僕の手からそっとスマホを持ち上げた。 あとは任せろ。とでも言ってるのかな。何事もなかったように足音を忍ばせて出て行った。 「りょうお兄ちゃんびっくりするかな?」 「いいんじゃない、たまには。こういうときでもないと腹を割って話すこともないだろうし。寝よう未知。ひまちゃんがいつ目を覚ますか分からないんだから」 心さんが布団を肩まで掛けてくれた。 ひろお兄ちゃんと心さんの挟まれて、まるでサンドイッチの具になった気分だったけど、二人の腕のなかは彼と同じように絶対に安心できる場所であり、心地いい温もりに包まれてすごく、すごく幸せだった。二人とこうして話しをしているだけでも心が安らぐ。 「泣くくらい嬉しいのか?」 ひろお兄ちゃんに言われるまで泣いていることに気付かなかった。 雨が降っていても火の勢いは一向におさまる気配がないみたいだった。どうかみんな無事でいて。僕には祈ることしか出来ないのが歯痒かった。

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