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番外編災いの、連鎖
ざぁざぁ降りの中、炎が空を焦がし、あたり一帯煙がもうもうと立ち込めていた。強い雨と風に阻まれ、消火活動は難航しているみたいだった。
「地下にダーツバーがあるらしく一階のエントランスは誰でも自由に立ち入ることが出来る。灯油を撒かれ放火されたとサツはみている」
「連続放火か。物騒な世の中になったもんだ」
お揃いの浴衣に身を包み、腕を前で組み空を見上げる彼とひろお兄ちゃん。背格好が似ているから、後ろ姿はまるで双子みたいにそっくりだ。
「未知か?ごめんな、起こしたか?」
「ううん。陽葵がぐずってばかりでなかなか寝てくれなくて。太惺と心望を起こすと大変だから廊下を散歩していたの」
「なんで言わないんだ。遠慮せずに何でも言ってくれと言ってるだろう。陽葵の面倒はみるから先に寝ろ」
「でも、遥琉さんだって疲れているのに悪いよ」
「気にすんな。俺は寝たいときに寝れるから」
彼が陽葵をそっと抱っこしてくれた。
「明日早いんだろ?裕貴も寝ろ。信孝と交代だ」
彼に言われて信孝さんがいることに気付き心臓が止まるんじゃないかそのくらい驚いた。
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