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番外編災いの、連鎖
「義夫さんは自宅にいない。同窓会で岳温泉の旅館に泊まっているらしい。携帯も繋がらない。ハツさんはまたすべてを失うと半狂乱になっていたが、今はだいぶ落ち着いている」
「そうか。女は?」
「朝早く義夫と仲良く犬の散歩をしているのが近所のひとに目撃されたが、それ以降誰も姿を見ていない。警察が宿泊先に確認の電話をしたら、同窓会の予約も入っていないし、白雪という宿泊客もいないということが分かった」
警察は義夫さんが何らかの事情を知っているとにらみ自宅前で張り込み帰宅するのを待つことにしたみたいだった。義夫さんはやくざも警察も嫌いだ。ふと一抹の不安が過った。
「どうした未知?何か気になることでもあるのか?」
「ハツさんが大丈夫かなって。義夫さんの浮気相手が安井カオルさんと同じ後妻業の女なら、ハツさんの存在自体邪魔だと思うの」
「一人では怖いと言って、親戚の家にいるはすだ」
「それならいいけど……」
陽葵の頬っぺをそっと撫でて、おやすみと声を掛けてから、ひろお兄ちゃんと一緒に寝室へと戻った。
「あ、そうだ。あの人だ!」
すっかり忘れしていたけど、僕は女性に会ったことがある。それを思い出した。
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