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番外編災いの、連鎖
翌朝、
「未知さん大変!」
久弥さんが何度も転びそうになりながらすごい勢いで走ってきた。
「どうした朝っぱらからそんなに慌てて。転んで手を怪我をしたらもともこうもないだろ?」
「それは、そうなんですけど。大変なんです!」
はぁはぁと肩で息をつく久弥さん。
「まずは落ち着け。未知も俺も逃げたりはしないから。ゆっくり深呼吸しろ」
「は、はい」久弥さんが気持ちを落ち着かせるため、彼に言われた通り、ふぅ~と息を吸って、はぁ~とゆっくりと吐き出した。
「大丈夫か?」
「はい。だいぶ落ち着きました」
「何があった?火事か事故か、それともまた森崎に寝込みを襲われたか?」
「根岸さんたちが側にいてくれるのでそれは大丈夫です。そんなことよりも卯月さん、ハツさんの姿がどこにも見当たらないんです。五時に起こしてくれと親戚の人に頼んでいたみたいで、起こしに行ったら布団がもぬけの殻だったみたいで」
「そうか、急いでもしゃあない。まずは朝茶を一杯飲んでからだ。熱いから気を付けろよ」
彼が湯呑み茶碗を久弥さんに渡した。
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