2978 / 3632

番外編災いの、連鎖

翌朝、 「未知さん大変!」 久弥さんが何度も転びそうになりながらすごい勢いで走ってきた。 「どうした朝っぱらからそんなに慌てて。転んで手を怪我をしたらもともこうもないだろ?」 「それは、そうなんですけど。大変なんです!」 はぁはぁと肩で息をつく久弥さん。 「まずは落ち着け。未知も俺も逃げたりはしないから。ゆっくり深呼吸しろ」 「は、はい」久弥さんが気持ちを落ち着かせるため、彼に言われた通り、ふぅ~と息を吸って、はぁ~とゆっくりと吐き出した。 「大丈夫か?」 「はい。だいぶ落ち着きました」 「何があった?火事か事故か、それともまた森崎に寝込みを襲われたか?」 「根岸さんたちが側にいてくれるのでそれは大丈夫です。そんなことよりも卯月さん、ハツさんの姿がどこにも見当たらないんです。五時に起こしてくれと親戚の人に頼んでいたみたいで、起こしに行ったら布団がもぬけの殻だったみたいで」 「そうか、急いでもしゃあない。まずは朝茶を一杯飲んでからだ。熱いから気を付けろよ」 彼が湯呑み茶碗を久弥さんに渡した。

ともだちにシェアしよう!