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番外編災いの、連鎖

「おぃ、おぃ、泣くことないだろう」 「嬉し泣きです。兄ちゃんにも聞かせてあげたかったです」 「弓削は俺より未知に側にいて欲しいと言われたほうが100倍喜ぶ。弓削は寝ても覚めても未知のことしか考えていないからな」 彼が久弥さんにそっと寄り添い背中を擦り宥めていたら、 「オヤジ!」 「卯月さん!」 血相を変えて信孝さんと森崎さんが慌てて部屋に駆け込んできた。 「俺と姐さんがいながら」 「信孝の言う通りです」 「なんで二人とも怒ってんだ?」 彼が不思議そうに首を傾げた。 やや置いてからぷぷっと吹き出した。 「なるほどな。見る角度によっては確かにそう見えるかもな。悪かったな。配慮が足りなかったな。俺は未知しか興味がないから、閻魔さまに誓っても浮気なんかしない。信孝も森崎も突っ立っていないで座れ。朝茶を一緒に飲もう。誰か、座布団を持ってきてくれ」 彼が声を掛けると、譲治さんがすぐに座布団を運んできてくれた。 「早いな。さすがは譲治だ。ありがとう」 彼に褒められ、照れて頬を真っ赤にする譲治さん。ペコリと頭を下げるとそそくさと戻っていった。 「どこにでもいるごく普通の若者にしか見えないのにな。達治も譲治も九鬼にさえ関わらなかったら、と思うとやるせないな」 ひろお兄ちゃんが譲治さんと入れ違いに居間に入ってきた。

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