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番外編災いの、連鎖

「誉の出生に関しては鋭意調査中だ。進展があったらすぐに連絡する。千夏と同時期に行方不明になった若い女性に関しては国井が調べている。十七年前に発生しそのまま迷宮入りした連続女性失踪事件の解決の突破口になるかも知れない」 「その事件、よく覚えているよ。全員、家族のもとに帰してやりたいな」 「今も生きていると信じ帰りを待っている家族がいるからな」 十七年前といったら僕は五歳くらいだ。その事件のことも、千夏さん以外にも行方不明になっている女性が複数いることもはじめて知った。 「十七年前といったら未知は晴くらいの年か?さぞかし可愛かったんだろうな」 「未知の両親からアルバムを預かっているぞ。見るか?赤ん坊のときから小学校入学式までの写真だ」 「なんで帰るときになってそれを言う」 ひろお兄ちゃんがムッとした表情を浮かべた。 「なんでって見せての一言がなかったから」 「アルバムがあること自体はじめて知った」 「あれ、言ってなかったか?」 「あぁ、一言もな。俺と兄貴の仲なのに水臭いぞ」 「それは悪かったな」 「笑っているということはこれっぽっちも悪いと思ってないだろ?未知の秘蔵写真が見たかったな」 「どうせまた来るんだ。そのときにみんなで鑑賞会をしよう」 「それいいな」 話しが盛り上がる一方で僕は穴があったら入りたい、そんな気持ちだった。

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