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番外編誰よりも焼きもちを妬いたのは

「兄貴、久弥を逆にビビらせてどうするんだ?」 ひろお兄ちゃんが困ったように苦笑いを浮かべた。 「ビビらせてはいない。誉がそう簡単に諦めない男だということは、久弥、お前が一番分かっていることだろ?一度モノにした獲物に固執し、取り返そうとしているとしても何らかおかしいことではない。違うか?一方的にぐいぐい迫る男と、しつこい男は嫌われるのにな。久弥、森崎といい誉といいモテモテだな」 「ちっとも嬉しくありません」 久弥さんがこれでもかと頬っぺを膨らませてひろお兄ちゃんを睨み付けた。するとひろお兄ちゃんがすかさずスマホをポケットこら取り出しカシャカシャと写真を何枚か撮影した。 「怒るくらいすっかり元気になったと弓削に見せてやろうかと思ってな」 「騙したんですか?」 「騙す!?人聞きの悪いことを言うな。こうもしないと素の表情を見せてくれないだろ?笑っていてもぎこちない。どこかよそよそしくて、びくびくして、見えない何かにいつも怯えている。弓削はただでさえ心配症なんだ。たまには腹の底から笑って兄ちゃんを安心させてやれ」 「裕貴さんも千里さんと同じで何でもお見通しなんですね」 「兄貴には敵わないがな。久弥、兄ちゃんからだ。有り難く受け取れ」 ひろお兄ちゃんが久弥さんの頭をぽんぽんと撫でた。 「兄ちゃんはめんげえしゃでをうんと甘やかしたいんだと。久弥が帰ってきてくれて一番喜んでいるのは兄ちゃんのほうだ。久弥、姐さんを頼んだぞ」

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