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番外編誰よりも焼きもちを妬いたのは
「卯月さんの心配はしないんですね」
「兄貴は不死身だからな。心配するだけ無駄だ」
「兄ちゃんに会ったら伝えてください。もう心配しなくても大丈夫だと。僕には未知さんと森崎さんがいるから。今度は兄ちゃんが幸せになる番だって。僕は反対しない。だって兄ちゃんが選んだ人だから」
「分かった。ちゃんと伝えておく」
そこへ段ボールを大事そうに抱えて、エプロン姿のヤスさんがふらりと姿を現した。
「噂をすればなんとやらだな。まだ気付いていないんだろ?」
「はい。四季さんのことしか頭にないみたいです」
「そうか」
くすりとひろお兄ちゃんが苦笑いを浮かべた。
「心、餞別だ。優真に食べさせてやれ。福島産の天空メロンと二本松産のさくらんぼだ。旨いぞ。何で天空メロンかというと桃またく宙に浮いたまま熟成させるからだ。桃もあとで送るなら楽しみに待ってろ」
「ヤス、ありがとう」
「なぁ心、なんか見られているような気がするんだが」
「気のせいだよ」
「そうか?そうは思えないんだが」
ヤスさんがキョロキョロとまわりを見ていた。
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